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十数年ぶりに漫画熱が復活した昭和生まれ。主にドラマと漫画のネタバレありのスカスカな感想をたれ流すブログです。

映画「his」感想

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良かった、本当に良かったです。
ドラマ版から見ていた者としては序盤で迅が川で本を読んでいるところでもうグッとときてしまいました。(ドラマで渚が本好きと描かれていたのでその影響だろうなと思ったら劇中でも触れられてました)
 
映画化されると聞いた時、迅は結婚してそうだなと想像しましたが、渚の方が結婚して娘が生まれていました。ドラマの物語が二人のこれからが始まる"前"の話だったので別れのシーンからの入りに一気に現実感が増してる…と同時に積み重ねた五年が見たい…とも一瞬思ってしまいましたが。でも二人の雰囲気で十分伝わってきました。
 
 
同性カップルの話だけでなく、母親や子育てに関しても一歩踏み込んでいたと思います。松本若菜さん演じる渚の妻であり空ちゃんの母がとても印象に残りました。渚が何とか結婚生活に折り合いつけようとがんばったけど、と話す場面がありましたが、玲奈の立場でも色々考えてしまって。そりゃ理想は仕事もガンガンこなして子供との時間も十分取れて困った時に親身になって助けてくれる親なり誰かが側にいて、夫とも夫婦円満な生活を送りたいと思う、誰もが。
 
でもそんな全部は無理だから!!皆何とか折り合いつけて生きている、ということがじんわり胸にくるものがありました。玲奈が酒飲んであっち行ってと娘を追い払う場面とか、大昔の自分だったらなんつー母親だ!空ちゃんは渚と暮らした方がいいじゃない!?ってもしかしたら思ったかもしれません。そうしてしまった彼女を察することができるほどに自分も年をとって色々考えるようになりました。裁判で弁護士に問い詰められた時の彼女は正直見てられなくて。でもその直後に渚が電話越しで娘と話すところが一番苦しかったです。
 
 
娘の空ちゃんの可愛いさには本当に癒されたし、あの迅と渚のキス場面を見ても動じずに周りに言ってしまう純粋な部分も渚の子育てがきっといい影響を与えてるんだろうなと想像しました。まあ実際渚はまだ離婚が成立する前に迅と関係持つので客観的に後から振り返るとうううううんそれは…となりそうなところも本当の自分を抑えなければならなかった背景やら一生懸命子育てしてきたことやら色々ぐるぐる考えが巡ってやっぱり異性愛者じゃない人にとって好きな人と一緒にいることって乗り越えるものが大きくて、当たり前ことではないと改めて思いました。
 
 
迅役の宮沢氷魚さんも物腰柔らかい中に寂しげな印象持たせる青年がぴったり合っていて良かったです、個人的に耳と手が赤いのが結構目につきました。寒いし水仕事も多いからな。。ビジュアルにケチつけたくないけど、髪は黒がよかったかな〜〜!とぼやかせてくれ。
 
 
こういう現実と地続きな物語は、私は楽しんで見ても思考の2%ぐらいはいつも"でも現実はクソだしな"ってどこか冷めた部分が常にあります。しかし根岸季衣さんの「年取ると男も女も関係ない、長生きしろよ」のセリフや田舎の皆が噂好きだけど見守るという雰囲気に何となく救われた気持ちにもなってしまいました。
 
ドラマ版の視聴者にとっても映画は素晴らしい続編でした。