ただ言いたいだけです。

十数年ぶりに漫画熱が復活した昭和生まれ。主にドラマと漫画のネタバレありのスカスカな感想をたれ流すブログです。

映画「パラサイト 半地下の家族」 臭そう…で私の感想は始まった。

 

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※ネタバレあり感想

 

たまに映画のレビューサイトやブログ漁ったりしますけど、私は書いてる人の主観がゴリゴリに入ってる感想を読むのが好きです。

本作品も格差社会をテーマにうんちゃらかんちゃら語られてますけど、個人的にはその割には現実世界に通じるメッセージや批判といった説教臭い側面が強調されているわけでもなく単にエンタメとして見応えあったと感じました。パルムドール?よく知らんし、私はただ思ったことを吐き出します。

 

人間の痛すぎる言動が滑稽に見えて場面がコメディと化するのって下手に笑わせようとしてくるギャグものより面白いと思ってて、名ドラマ「ブレーキング・バッド」や昨年の邦画「愛がなんだ」なんかもそういうイメージ持ってます。まあ笑えるのは前半だけでどの作品もエスカレートして全く笑えなくなるどころかどんな顔して観たらええんか分からなくなってくるのですが。私がパラサイト鑑賞した時は何度か笑いが起きてました。チンパンジー?とかキム母(貧乏の方の母)が前任家政婦さんをキックした時とか。この中盤ぐらいから胃がキリキリし始め、はよ終わってくれ!!となりながら観ておりました。コメディで終わるわけがない。

 

・匂い

本作のスタートは半地下に住む貧困家族キム家の様子が映し出されますが、初っ端思ったのが臭そう…無理ィ〜〜でした。物が多くてとっちらかってるだけならまだしもトイレとかも衛生的になかなか耐え難い絵面で掃除しろよ!!ってなりました。ピザの箱をたたむ内職も家族四人でやってて、いやいくら失業中でももっと他にあるんじゃないの〜〜って思いながらも家族の仲は良い様子が伝わってきました。この序盤でこの人達臭そうという刷り込みが行われ(私の中で)、ひょんなことからブルジョワ風味に擬態し金持ちのパク家で働く‥というよりタイトル通り寄生していくキム家ですが、見かけや言動を取り繕ってみても(というよりどれも付け焼き刃的)匂いはどうにもできないということに気づいてなかった…。どんな家にも匂いがあると思うのですが、自分の家の匂いは自分では分からないというあるあるからの展開がいたたまれなくなりました。パク家の息子に家庭教師も運転手も家政婦も同じ匂いがすると言われ、じゃあ洗濯の洗剤別々にする?というなんとも呑気な会話を繰り広げるキム夫妻にちげーーよ!!洗剤じゃねえよ…と頭抱えそうになったところでキム家のしっかり者の娘は半地下の匂いと指摘してて、滲み出る生活臭はごまかしが効かない。

終盤、豪雨で半地下の自宅が洪水で流れる災難にあい避難所で夜を過ごし、翌日誕生日パーティーに駆り出されるところでは、あんな汚水にまみれてそのまま行くの!?シャワー浴びた!?やばいってそれは〜〜〜嫌な予感しかしないって思ったらあの大惨事が起きました。

 

・金持ち一家が良かった 

キム家に騙される形で雇う金持ちのパク家がテンプレな嫌味で傲慢な金持ちでなかったところが非常に良かったです。パク夫人は足広げて座ったり貧乏ゆすりなどで生粋のお嬢様じゃなさそうだなと思い、パク社長の含みのありそうな発言(妻は家事が出来ない〜のくだり)も何か隠された事実でもあるのかなと邪推しましたが、そんなことは無く。金持ちではあるけど年頃の娘と手のかかるやんちゃ息子を抱える一般的な家庭と大きく隔たりがあるような家族には見えなかったです。社長の物腰の柔らかそうな物言いに潜むキレ者感がよく出ていて上手いな〜と思いました。息子も子供は大人が思うより色んなことを感じ取っている描写がありました。

 

・下にまだいた

主演のソン・ガンホさんが演じた運転手役、終盤にかけて精神が摩耗していき何かに取り憑かれたような表情から目が離せなくなります。キム一家に関しては息子が父に対して敬語で話していた(娘は敬語じゃない)のがちょっと引っかかったんですけど、とにかく貧乏でも卑屈になりすぎることなく呑気な会話を繰り広げる家族は見ていて微笑ましい場面もあっただけに、豪邸から脱出した時は、もうこのままフェードアウトすりゃええやん …誕生日パーティー行くの!?って思っちゃいました。

ネタバレですが、豪邸の地下には人が住んでいたという超展開。半地下に住むキム一家よりも更に「下」に人がいたわけです。台湾カステラの店(日本のタピオカブームみたいなもん)が潰れて借金が〜のところでキム父さんが苦々しい顔になったのが結構印象に残りまして。彼も台湾カステラ店を出していことがあっただけにこの地下に潜ることになったおじさんとキム父さんを分けたものは何だったのか…半地下から完全に地上に這い上がる一瞬の夢(錯覚ですけど‥)を見た直後にフリーフォールで潜らせるという見応えある展開で胃がキリキリしました。

 

・ラスト

惨劇のその後のキム家が描かれたのに対してパク家には一切触れられていなかったのがちょっと気になりました。金持ちだからといってパク家が攻撃の対象になっていい訳がない。貧乏と金持ちが出てくる韓国映画「バーニング」では、私は完全に"何も持たない側"の主人公の目線で見ていたのですが、この作品ではキム家、パク家どちらにも寄らずに中間目線で見ていた感触があります。現実世界の格差や酷さをつなげてどうのこうの言いたい気にはならなかったです。

「パラサイト」鑑賞後に監督のインタビュー記事読みました。最初に単にエンタメとして見応えあったと書きましたが、監督の意図した通りの感想を持ったわけです。すごい。

 

 

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