ただ言いたいだけです。

十数年ぶりに漫画熱が復活した昭和生まれ。主にドラマと漫画のネタバレありのスカスカな感想をたれ流すブログです。

海獣漫画を読む。「海獣の子供」&「聖血の海獣」感想

 

海獣の子供」全5巻   (五十嵐大介さん)

"海獣の子供(1)

 

なんとまあ小難しい漫画か。原作読んでから映画館へ観に行こうか悩んでいるうちに田舎ではもう観るタイミング逃した感じなのでレンタルまで待ちます。予告見ると、圧倒的な映像美をスクリーンで堪能出来ないのは少々心残りですが。

で、映画は映像美と主題歌が先行して話題になった印象がありますが、話はどんな話なの?ということで、非常に説明しづらい物語の偏差値低めの感想でございます。

  

冒頭におばあさんが昔の不思議な体験を語り出す…読み終わってからこのおばあさんは主人公の琉花だったと気づいた(遅い)のですが、自分の気持ちを上手く表現出来ない反抗期真っ盛りの少女がジュゴンに育てられたという少年二人と出会った夏休みの摩訶不思議な体験を海、宇宙、生命の神秘という壮大すぎるスケールで真理を問うような話。何だよそれって感じですが、まずジュゴンに育てられた永遠と水の中に潜れる半魚ボーイ海と空という名の少年の存在がいきなり当然のように出てくる唐突さも、地球で何かしら異変が起こっている(多分昔からあるサイクルで発生している)という状況もあって完全なるファンタジーとは言い難い印象の作品でした。(魚が消えていく、とか現実でも把握出来ていないだけで起こっていそう) 

 

海と空のような"海獣の子供"達は他に何人も確認されているが、子供のまま死んでしまうことがほとんどであることが伺え、これら全ての異変は作中のクライマックスである誕生祭の予兆。誕生祭は宇宙からの隕石(=精子)と海の生き物達の受精→生命の誕生のことだと思いますが、このシーンを琉花だけが目撃(体験?)します。この琉花もおそらく海や空達と同じルーツを持っていたからであって、物語進むにつれどんどん半魚ガールになっていきます…。

 

宇宙からみた地球は人間の人体になぞえたような話があった気がしますが(既にうろ覚え)、難解ながらも、そうかもしれない、宇宙や海で起こるほとんどのことは解明出来ていないし、人間の理解の範疇を超えた作中のようなことが実際起こっていてもおかしくない、と思わせるような話はなかなか興味深く読みました。いや話の半分も理解出来ていない自信はありますが。

  

あの…琉花のお母さん妊娠してましたけど、夫とは別居中でとても子供作る雰囲気じゃなさそうに見えたんですけど、夫の子供だったんだろうか…(超下世話な話) 。誕生祭の前に妊娠判明してるし、海で起こる誕生祭(誕生=死とも言える)を体験した琉花に人間が誕生する瞬間も立ち会わせてあげたかったという作者心が垣間見える気がして。ていうか、何となく琉花にへその緒を切らせたかった故の妊娠なのかな…と身もふたもないこと思っちゃいました。映画の感想ざっと見ても誰も突っ込んでなさそうだし…この辺りモヤっとしましたがーまあいいや。

 

他の生き物は持たない人間だけが持つ「言語」についても突っ込んでいてこれもまたこの作品のテーマの一つなのかなと思います。サヴァン症候群に触れた話もチラっと出ていましたが、人間についても解明出来ないことや不思議と思われることの全ては海から始まった…と。言語でやり取りする前の人間の方が気高い生き物であった、と主張するアングラードよりジムの方が好きですけども私は。ジムが琉花に話すリモコンのチャンネルの話、妙に印象に残りました。何だか考えていると疲れるのでこのあたりで止めておきます。

 

 

 「聖血の海獣」  (釣巻和さん)

聖血の海獣(1) (ITANコミックス)

 

3巻までの感想

海、少年少女、砂の王…世界観から子供の頃好きだった折原みとさん作「アナトゥール星伝」シリーズを思い出しました。(アナトゥール星伝は女子高生が異世界を行ったり来たりするうちに王子に惹かれ、国を繁栄させるため農業を勉強する話。王家の紋章のキャロルは、アナトゥール星伝50回読んで結奈さんを見習ってくれ…)

 

正直この年になると異世界ファンタジーは苦手意識が少しありますが、美しい絵柄と序盤の重厚かつヒロインの超不穏な雰囲気に惹かれて読んでみました。タイトルの通りレヴィアタンと呼ばれる"海獣"を中心に繰り広げられるバトルあり、ボーイミーツガールありの王道とも言えそうなファンタジーです。

バトルは海獣を狩るハンターの主人公側VS海獣を神と崇める者達という構図に既婚の少女ヒロインがどう関わってくるのか。初登場時から明らかに様子のおかしい彼女に主人公の真っ直ぐな性格の少年が惹かれていきます。3巻で彼女の正体が判明しますが思ったよりダークで上記の「海獣の子供」に通じるものがあると言っていいのかっていうか言葉そのままの存在であったことが明かされました。なんか色々先が気になる展開になってきましたので陰ながら応援していきたいと思います。同作者さんの「のの湯」もドラマ放送始まりましたので今度チェックしなくては。