ドラマ版「バーニング」感想 わからない。
村上春樹原作『バーニング』放送! | 特集ドラマシリーズ | NHKドラマ
※劇場版ラストは知らない状態で感想書いてます。
や ら れ た
わ か ら な い
(私NHKサイト見る)
このやろう、これ放送して映画館へ走らせる魂胆だな!
え〜どれどれ、上映映画館は〜、、、
ちっ市内でやらねえじゃねえかーーー(怒)キィィィーーー
年末、たまったま番組表見てたら村上春樹、スティーブン・ユァン(グレーーーーン!)という文字が目に入り気になったのでなんとなく見てみたらこんな心境になりました。
韓国(NHKとの共同制作)で実写化された映画を大分カットした短縮版になっていた…ということを見終わった後に知りまして。やられたーーちくしょう、分からな過ぎて映画をものすごく観たくなってしまったのです。2019年の初映画館は「アベンジャーズ/エンドゲーム」or 「おっさんずラブ」の予定だったのですが「バーニング 劇場版」になりそうです。
意味がよく分からなくても面白い!って作品は結構あると思うのですが、個人的に近年観た映画でその感想がぴったりハマったのは、韓国映画「哭声/コクソン」です。しかし、この「バーニング」はとても面白いとかつまらないとかそういうチンケな感想持つことは許してくれない感じでケンカ売られた気分に…。で、原作の短編小説「納屋を焼く」も読んでみたのですが、更に頭抱えました。
このドラマ、原作に結構忠実になっているではないか(´Д`;)そしてわからない。
さらっと私と村上春樹氏の小説のこれまでを書いておくと、高校生の時に「ノルウェイの森」読みましてワーーオモシローーー!!けどこの虚無感はいったいなにーー!!って衝撃を受けそこから数作長編小説に手を出したものの、よく分からなかった… のでいつの間にか敬遠する作家さんになってました。。同じく短編で入ってる「螢」は「ノルウェイの森」の前身?(読んでる途中で気づいた)だけあってすごく読みやすかったです。というか、この終わり方の方が好きかも…
ドラマ中身の感想
※原作読了後にもう一度ドラマを見た上での感想です。
原作に割と忠実とはいっても、舞台は現代の韓国だし、わずか30ページの短編が2時間越えの映画になっているわけですから、当然脚色されてるし、主人公ジョンスの設定が原作からがらっと変わっていることで大分印象が違いました。ドラマは、就職難時代に生きる小説家を目指している普通にその辺にいそうな若者に変わっています(原作は既婚で仕事も安定してそうなアラサー) 。 "彼女(ヘミ)"は同郷の同級生?(か不明だが明らかに同年代)になっているものの、雰囲気の良いバーでちんちくりんなダンスを金持ちに披露するような良く言えば少し不思議ちゃん、悪く言えばちょっと頭イっちゃっている女。ベンは原作そのままのイメージで得体の知れない物腰柔らかな青年でした。
私はヘミやベンが話をしている時のジョンスの虚無。って感じの表情が、結構くるものがありました。私も目の前にネットで1億ばら撒くような大金持ちがいたら多分同じ表情になると思います。ベンのような圧倒的金持ちを前にフリーターで金無し、おまけに父親は裁判中のジョンスがゴリゴリ精神削られていき、羨望、嫉妬、焦りといった生々しい感情が見える気がしました。原作の主人公からは何も感じなかったのに。そしてヘミのことに関しても、一体この子は何を言っているんだろう。。。という心の声が聞こえてきそうなジョンスの表情が!ジョンス的にはヘミは可愛いしセックスもしちゃったしちょっと変わった子だけどスキだなーーって感じなのかと思いきや結構本気で彼女にのめり込んで行く様に、やめとけよ〜そんな女!と思わなくもなかったといいますか、この恋愛模様はこの映画では特に大事ではないんじゃないかと感じながらもそんなことふと思いました。
ドラマは、ヘミがジョンスの前から姿を消し、彼女は本当に実在していたのか?と思わせるところで終わっており、まあ私はものすごく単純な見方をしがちなので、1回目視聴後はベンが彼女を殺したのかな…と推察したところで思考停止したのですが、2回目観て色々気になったところを吐き出します。
1.ヘミがジョンスと元々知り合い(同郷の人)であったということ自体がウソなのでは?
ヘミは整形しているということになっていますが、ジョンスはヘミの昔話に何の反応もしていません。学生時代のブス発言やヘミが幼少期井戸に落ちたという昔のエピソードがまるで記憶にないというのは流石におかしいのでは?→ヘミとベンはグルなんじゃないかという説が一瞬私の中で浮上したのですが、、、、、、最後のヘミからのコールも偽装か?いやわからない。
2."ハウスを燃やす"とは?
ベンは"役に立たない汚れてて目障りなハウスが多すぎる。僕に燃やされるのを待っているような" というようなことをジョンスに語ります。ヘミが失踪することを考えると、どうしてもハウス燃やすというのは"役に立たない人間を殺す"こと(そのままやんけ…) って頭によぎるのですが、わからない。
3.ベンの家にあった女モノの化粧品やアクセサリー類
連れ込んだ女に化粧するベン。何か意味あるの!?分からない。そもそもベンの周りの女たちは皆小綺麗な格好で金に余裕ありそうな人達で明らかにヘミだけ異質な存在。やはりヘミがベンの"ターゲット"になっていたのか、それとも。
4.猫が一度も姿を見せない
ヘミが旅行中に猫の世話をジョンスに依頼してましたが、出てくるのは猫の餌とトイレだけ。ヘミ失踪後にこれらが無くなって部屋が綺麗に片付いていたのはベンの仕業か、それとも本当にヘミは猫なんか飼っていなかったのか。いやそもそもあの部屋は全く別の他人の部屋でジョンスがヘミに嵌められたのかも、と思考がぐるぐる回って、最後には分からない。で終わるのです。
5.ベンの"近すぎて見逃すことがある"とは?
ヘミがいなくなってジョンスは最初は気にかけていたものの、次第にハウスが焼かれているかどうかに執着していくように見えます。ベンが殺すのかどうかは分かりませんが、ヘミが近いうちにいなくなることを知っていた状態でジョンスに突拍子も無くハウスを焼く話をし、ハウスに目を向くようにした…いや私ならお前何言ってんの!?でその場から離れますけど、ジョンスはそうはならなかったし、次第にヘミを忘れていくんだろうと。分かるのは、ヘミが一文無しで誰からも気にかけてもらえず、そのうち忘れ去られていくこと。自分探しの為アフリカまで行ってしまう生命力溢れたヘミは確かにいたのに、ひっそりと消えて忘れられていくんだろうということです。そうやって人はいつの間にか色々失くしながら生きていくってことなのか。
劇場版を見ても明らかにはならないんだろうなと思ってます。私はそもそも考察とか深読みとか苦手で何でもシンプルに考えがちなところがあるのですが、無い脳味噌を捻って考えたところでどうにもならない作品なんじゃないかという気がしてきました。あなたが見ているものが真実とは限らないって言われたらはい、そうですね……返す言葉もございません。しかしこのもやもやを楽しもうぜとか言われたらうるせぇ!って返してしまいそうです。
見る人に解釈を委ねる系の作品も嫌いではないですが、こんなにも霧が晴れない作品は久々に見たので、ハウスに執着しすぎて精神崩壊したジョンスが殺人鬼と化したら面白いなという妄想しながら劇場版を待ちたいと思います。